さまざまなランキングで「住みたい街」として登場する横浜。横浜と一口に言っても市域は広く、地域によって土地価格は大きく異なります。横浜の土地を売却する際は、周辺地域の土地相場をチェックし、適正価格を把握することが重要です。
この記事では、令和7年地価公示のデータをもとに、最新の横浜の土地価格相場と近年の推移を解説します。区ごとや人気の駅ごとの相場、今後も価値が下がりにくいと考えられるエリアもご紹介するので、横浜における土地売却の参考にしてください。
【2025年7月最新】横浜市全体の土地価格相場と推移
横浜の土地価格相場の目安として、令和7年地価公示や国土交通省のデータから、2025年7月時点での横浜市全体の地価状況や近年の推移について見ていきましょう。
令和7年地価公示|横浜市全体の状況
令和7年地価公示(2025年1月1日時点の標準地1m2あたりの正常な価格)によれば、横浜市全体での住宅地平均価格は25万7,000円でした。前年は24万5,800円となっており、地価が前年比で3.2%上昇したことになります。前年から継続的に調査された477地点のうち、前年比が横ばいだったのは5ヶ所で、それ以外の472地点は前年比で上昇しました。このことから、横浜市の住宅地はニーズが旺盛で、引き続き地価上昇が続いていると考えられます。
しかし、同じく神奈川県内の政令指定都市である川崎市の住宅地は前年比4.4%の上昇、相模原市の住宅地も前年比4.3%の上昇となっており、平均上昇率が横浜市を上回っています。川崎市は東京都に隣接していて住宅ニーズが高いこと、相模原市はリニア開業に向けた開発が進んでいることなどが、地価上昇の原因として考えられるでしょう。
横浜市の全体的な傾向として、川崎市に隣接する北部や西区などの中心部の地価が高く、反対に南部や西部の区は地価が低い傾向にあります。上昇率も同様の傾向が見られ、同じ横浜でもエリアによって差が生じている状況です。
横浜市における住宅地の平均取引価格の状況と過去5年間の推移
次に、国土交通省「不動産情報ライブラリ」のデータをもとに、2020年から2024年までの5年間における、横浜市全体の住宅地土地単価の推移を見てみましょう。
上のグラフを見ると、四半期ごとに価格の変動はあるものの、2020年以降は一貫して上昇傾向にあることがわかります。ただし、グラフ中の青い線で表した標本数(データの元となった取引件数)はむしろ減少傾向です。特に2024年は、すべての四半期で300件を下回っており、市内の土地の供給数が減っていることも同時に見て取れます。
これを踏まえると、需要の高まりというよりも、供給数の減少が価格上昇を招いていると考えられるでしょう。
【2025年7月最新】横浜市の区ごとの土地価格相場と推移
前述のとおり、同じ横浜市内でも、エリアによって土地価格相場は大きく異なります。ここでは、令和7年地価公示をもとに、横浜市の区ごとの土地価格相場と近年の推移をご紹介しましょう。
令和7年地価公示|住宅地の平均公示価格の高い区・低い区ランキング
令和7年地価公示における、横浜市全区の住宅地平均価格と前年比変動率を、価格の高い順に並べたものが次の表です。
令和7年地価公示における各区の住宅地平均価格と変動率
住宅地平均価格 (円/㎡) |
前年比 平均変動率 |
|
西区 | 392,700 | 5.9% |
中区 | 386,100 | 3.2% |
港北区 | 348,900 | 4.0% |
青葉区 | 325,700 | 2.5% |
神奈川区 | 322,300 | 5.1% |
都筑区 | 305,400 | 3.7% |
鶴見区 | 299,200 | 3.8% |
南区 | 241,800 | 3.1% |
緑区 | 233,700 | 2.7% |
泉区 | 222,200 | 3.9% |
港南区 | 216,800 | 2.8% |
戸塚区 | 210,900 | 2.7% |
保土ケ谷区 | 210,800 | 3.2% |
旭区 | 203,600 | 3.2% |
磯子区 | 200,000 | 2.3% |
金沢区 | 192,500 | 2.3% |
瀬谷区 | 188,600 | 3.4% |
栄区 | 182,300 | 2.8% |
表の上部の「西区」「中区」「港北区」が公示地価のTOP3、表の下部の「金沢区」「瀬谷区」「栄区」が地価の低い3区です。
TOP3以下、青葉区・神奈川区・都筑区・鶴見区は、いずれも川崎市との市境から中心部にかけて位置する区。中心部と、東京都心へのアクセスが良好な市の北部で地価が高い傾向にあります。反対に、中心部よりも南側や西側にある区は地価が低くなっており、明確な地域差が生じています。
区ごとにみる住宅地の平均公示価格の推移
区ごとの住宅地の平均公示価格がどのように推移してきたのか、今度は上昇率が高い順に見てみましょう。
区ごとの住宅地平均価格の変化(2015年・2025年)
住宅地平均価格(円/㎡) | 変動率 | ||
令和7(2025)年 | 平成27(2015)年 | ||
西区 | 392,700 | 259,300 | 34.0% |
神奈川区 | 322,300 | 234,800 | 27.1% |
中区 | 386,100 | 304,900 | 21.0% |
港北区 | 348,900 | 281,700 | 19.3% |
青葉区 | 325,700 | 266,400 | 18.2% |
南区 | 241,800 | 198,200 | 18.0% |
都筑区 | 305,400 | 253,700 | 16.9% |
鶴見区 | 299,200 | 248,800 | 16.8% |
泉区 | 222,200 | 188,900 | 15.0% |
保土ケ谷区 | 210,800 | 184,900 | 12.3% |
緑区 | 233,700 | 206,600 | 11.6% |
旭区 | 203,600 | 180,600 | 11.3% |
港南区 | 216,800 | 195,200 | 10.0% |
戸塚区 | 210,900 | 190,700 | 9.6% |
瀬谷区 | 188,600 | 170,900 | 9.4% |
磯子区 | 200,000 | 185,200 | 7.4% |
金沢区 | 192,500 | 181,600 | 5.7% |
栄区 | 182,300 | 181,200 | 0.6% |
先ほどの令和7年地価公示の価格順で並べた表と比較してみると、ほとんど同じ傾向が見られます。つまり、中心部や市北部のアクセスが良いエリアは地価上昇が続く一方、南部や西部の区は地価変動が緩やかであり、ますます相場の地域差は拡大しているといえるのです。
特徴的な区としては、みなとみらい地区や横浜駅周辺の大規模再開発が進む「西区」、東急田園都市線沿いでの再開発が盛んな「青葉区」、市営地下鉄グリーンラインや東急新横浜線の開通で利便性がアップした「港北区」「都筑区」などが挙げられます。
令和7年地価公示|横浜市の地点別平均公示価格ランキングTOP10
令和7年地価公示のデータより、住宅地の地点別平均公示価格TOP10も見ておきましょう。
【地点別】令和7年地価公示における住宅地公示価格
地点住所 | 公示価格(円/㎡) |
横浜市中区山手町73番7 | 800,000 |
横浜市西区中央1-36-5 | 680,000 |
横浜市港北区日吉本町1-5-10 | 658,000 |
横浜市中区山手町244番9 | 629,000 |
横浜市青葉区新石川3丁目16番7 | 607,000 |
横浜市青葉区美しが丘5丁目1番21 | 604,000 |
横浜市青葉区美しが丘2丁目28番6 | 567,000 |
横浜市西区岡野2-17-15 | 560,000 |
横浜市青葉区美しが丘5丁目23番17 | 558,000 |
横浜市青葉区新石川2丁目11番107 | 534,000 |
上位地点を見ると、第3位の港北区日吉本町を除き、2つのエリアに集中しています。1つ目は、中区や西区といった中心部からほど近い住宅街。2つ目は、東急田園都市線のたまプラーザ駅・あざみ野駅に近い、青葉区新石川と美しが丘エリアです。後者は田園都市線沿線の高級住宅街として知られ、今もなお、高いブランド力を誇るエリアとなっています。
【人気の駅別】住宅地の土地価格相場一覧
区ごとや地点ごとの土地価格相場について見てきましたが、鉄道路線が多く通る横浜では、人気の駅に近いと土地価格が高くなる傾向にあります。そこで、不動産・住宅サイト「SUUMO」のデータをもとに、横浜市内にある主要駅別の土地価格相場を見てみましょう。
【駅別】土地の平均坪単価
駅名 | 土地の平均坪単価 |
JR東海道線 | |
横浜駅 | 204.3万円 |
戸塚駅 | 84.7万円 |
JR京浜東北・根岸線 | |
鶴見駅 | 163.1万円 |
東神奈川駅 | 169.3万円 |
桜木町駅 | 224.8万円 |
磯子駅 | 131.1万円 |
港南台駅 | 79.9万円 |
JR横浜線 | |
新横浜駅 | 129.3万円 |
中山駅 | 84.8万円 |
東急東横線 | |
日吉駅 | 176万円 |
菊名駅 | 141.5万円 |
東急田園都市線 | |
たまプラーザ駅 | 137.8万円 |
あざみ野駅 | 164.8万円 |
青葉台駅 | 119.7万円 |
京急本線 | |
上大岡駅 | 92.9万円 |
金沢文庫駅 | 72.8万円 |
相鉄線 | |
星川駅 | 96.7万円 |
二俣川駅 | 93.7万円 |
三ツ境駅 | 86.7万円 |
いずみ野駅 | 80万円 |
市営地下鉄 | |
センター北駅 | 165.5万円 |
駅別で見た場合、 JR京浜東北線沿線、東急東横線・東急田園都市線沿線の地価が高くなっています。一方、地価が比較的リーズナブルなのは京急線の横浜駅以南、相鉄線沿線などです。
【人気の駅別】実際の土地価格目安一覧
上記の駅別坪単価で考えたとき、実際の土地価格はどれくらいになるのでしょうか。総務省「令和5年住宅・土地統計調査」における、横浜市の持ち家一戸建ての平均敷地面積159.83m2(約48.3坪)より、駅別の土地価格の目安を紹介します。
【駅別】住宅購入時の土地価格の目安
駅名 | 土地価格の目安 |
JR東海道線 | |
横浜駅 | 9,868万円 |
戸塚駅 | 4,091万円 |
JR京浜東北・根岸線 | |
鶴見駅 | 7,878万円 |
東神奈川駅 | 8,177万円 |
桜木町駅 | 1億858万円 |
磯子駅 | 6,332万円 |
港南台駅 | 3,859万円 |
JR横浜線 | |
新横浜駅 | 6,245万円 |
中山駅 | 4,096万円 |
東急東横線 | |
日吉駅 | 8,501万円 |
菊名駅 | 6,834万円 |
東急田園都市線 | |
たまプラーザ駅 | 6,656万円 |
あざみ野駅 | 7,960万円 |
青葉台駅 | 5,782万円 |
京急本線 | |
上大岡駅 | 4,487万円 |
金沢文庫駅 | 3,516万円 |
相鉄線 | |
星川駅 | 4,671万円 |
二俣川駅 | 4,526万円 |
三ツ境駅 | 4,188万円 |
いずみ野駅 | 3,864万円 |
市営地下鉄 | |
センター北駅 | 7,994万円 |
価値が下がりにくいエリアの3つの特徴
土地を売却するにあたり、エリアの資産価値は気になるところです。将来にかけて高い資産価値が期待できるエリアには、次の3つの特徴があります。
(1)利便性の高い駅近エリア
横浜に限らず、東京圏は鉄道での移動がメインです。そのため、駅からの距離や鉄道の利便性は土地の資産価値に直結します。横浜市内でも、東京都心へ1本で出られる沿線の駅近立地は、今後も一定の土地ニーズが見込めるでしょう。ただし、こうしたエリアは土地価格も高水準であるため、売却するターゲットが絞られる可能性もあります。
(2)評判の良い学区
子育てファミリーが家を建てる土地を探すときには、学区も重要な判断基準になります。公立小学校や公立中学校は、学校によって平均学力や校風などが異なります。人気学区にある土地を所有している場合、ファミリー層をターゲットに売却を検討するのもよいでしょう。
横浜市の人気学区については、こちらのコラムで詳しくご紹介しています。
(3)再開発が予定されているエリア
周辺で再開発事業が予定されているエリアは、完成後に住環境や利便性が向上すると考えられるため、将来性も期待できます。土地の売却を検討する際は、周辺エリアで予定されている再開発プロジェクトの概要、大型商業施設や大型集客施設の開業予定などの情報を事前にキャッチしておくとよいでしょう。
横浜で土地価格が下がりにくいと予想されるエリア3選
資産価値が下がりにくいエリアのポイントをお伝えしましたが、横浜市内だとどのようなエリアが該当するのでしょうか。以下では、今後も土地価格が下がりにくい、あるいは上昇する可能性があるエリアを3つご紹介します。
(1)横浜駅・みなとみらい・関内周辺
公示地価の高い横浜駅周辺、みなとみらい・関内地区などの中心部は利便性が高いうえ、近年大規模な再開発事業が立て続けに行われています。特に、2026年春に開業予定の横浜市旧市庁舎街区活用事業(BASEGATE YOKOHAMA KANNAI)は、大きな注目を浴びる再開発事業です。
これらのエリアは横浜の都心部にあたり、今後も再開発による活発な新陳代謝が見込めるため、将来にわたって資産価値を維持しやすいでしょう。そもそも土地供給が少ないので、高い価格でスピーディに売却できる可能性が高いといえます。
(2)京浜東北線・東急東横線沿線
先述のように、同じ横浜市内でも東京に近い北部と、アクセスに時間のかかる南部では、土地価格や上昇率に大きな差があります。端的にいえば、横浜の土地価格は「北高南低」の傾向であり、将来も変わらないと考えられるでしょう。
具体的には、京浜東北線の横浜駅以北(鶴見駅や東神奈川駅などの周辺)、東急東横線沿線は東京都心へのアクセスが良く、将来も資産価値が下がりにくいエリアといえます。
(3)瀬谷区周辺
現在は比較的地価がリーズナブルな瀬谷区周辺も、資産価値の面で注目のエリアです。なぜなら、米軍から返還された旧上瀬谷通信施設跡地の大規模開発が予定されているからです。
ここでは、2027年3月から9月にかけて「2027年国際園芸博覧会(横浜花博)」の開催が決定しており、会期中は多くの来客が見込まれます。さらに、横浜花博閉幕後には、東京ディズニーランドとほぼ同規模の大型複合施設「KAMISEYA PARK(仮)」が開業予定。最寄り駅となる相鉄本線瀬谷駅や三ツ境駅周辺では、施設開業に合わせた交通インフラの整備なども計画されており、近隣住宅地の資産価値アップが期待できます。
このエリアに土地を所有している場合は、売却のタイミングを後ろ倒しにするとよいかもしれません。
まとめ
横浜市の土地価格は近年上昇傾向にあります。しかし、利便性の高い中心部や北部で大きく地価が上昇する一方、南部や西部では上昇幅が緩やかになっており、土地価格の地域差はますます広がる傾向です。横浜の土地の売却を検討しているなら、エリアの将来性を踏まえ、適切なタイミングでの売却を心がけましょう。
横浜スタイルは、これまでに1,200件以上の横浜の不動産売却をサポートしてきました。土地の取り扱い実績も豊富で、お客さま一人一人の事情に合わせた売却を実現しています。まずは、売却検討の第一歩として、最短60秒の無料不動産査定で所有地の価値をチェックしてみてはいかがでしょうか。