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2025.11.10

差し押さえされた不動産の売却は売却できる?任意売却のメリットとデメリットも解説

「不動産が差し押さえされたけど売却ってできるの?」と、不動産が差し押さえられた場合、多くの方が不安を感じるものです。

結論として、差し押さえられたとしても、任意売却を利用すれば、不動産を売却できる場合があります。ただし、必ず売却できるとは限らないため、任意売却を利用できる条件や手続きの流れを理解することが大切です。

本記事では、差し押さえられた不動産が売却できるかどうか、任意売却を利用するための条件について解説します。記事をお読みいただくことで、差し押さえられた不動産を売却できるかどうかを判断できるようになるでしょう。

差し押さえられた不動産は売却できる?

結論からいうと、差し押さえされた不動産でも売却できます。ただし、売却するためには一定の条件を満たしている必要があり、どのような不動産でも売れるわけではありません。どのような条件を満たせばよいのか理解していない場合、「売却したい」と思い立ったときに、売れないという状況になる可能性もあります。

ここからは、差し押さえされた不動産を売却するための条件について解説します。

差し押さえられた不動産は任意売却で売れる可能性がある

差し押さえされた不動産でも、以下の条件を満たした場合は売却できる可能性があります。

これらの条件を満たした場合、任意売却の利用が可能となります。任意売却とは、債権者からの同意を得たうえで、債務が売却金額を上回った不動産を売却する方法です。住宅ローンを滞納して差し押さえされたとしても、債権者の同意が得られれば、不動産を売却して債務を大幅に減らせます。

なお、競売は企業や民間人が裁判所を介して債権を回収する方法、公売は行政が税金の滞納を回収する方法で、どちらもオークション形式を採用しています。

そもそも「差し押さえられた不動産とは」何?

差し押さえされた不動産とは、「差押登記」がついている不動産です。

債権者はローンの残債を回収するため、法的手続きを経て債務者の財産を競売や公売によって強制的に処分します。ただし、強制的な処分には時間がかかるため、手続き中に債務者が不動産を勝手に処分する可能性があります。こうした事態を防ぐため、債務者が勝手に不動産を処分できないよう、差押登記がおこなわれるのです。

差押登記されると所有者の一存で売却できなくなるのはもちろんのこと、不動産を担保として他の借り入れもできなくなります。

不動産が差し押さえられる理由

不動産が差し押さえられる主な理由は以下のとおりです。

差し押さえられる理由によって、差押登記されるまでのスピードや、差し押さえする根拠となる法律が異なります。

ここからは、不動産が差し押さえられる理由について解説します。

住宅ローンを滞納する

住宅ローンを滞納すると、債権者(金融機関や保証会社)が抵当権を実行して、差し押さえしたうえで競売の手続きに入ります。

住宅ローンの滞納の場合はすぐに差押登記されるのではなく、ローン返済が2〜3回滞り、督促状が債務者(ローンの返済者)に届くくらいの時期に手続きが開始されるのが一般的です。督促状を無視して滞納を続けると、差押登記がおこなわれ、競売で強制的に不動産を処分されてしまいます。

ただし、住宅ローンの滞納の場合、債権者にリスケジュールや任意売却の相談をすれば、提案に応じてくれる場合があります。早期に対処すれば差押登記や競売を避けられる場合もあるため、返済が厳しくなったら金融機関や不動産会社に相談するとよいでしょう。

税金を滞納する

固定資産税や住民税などの税金を滞納すると、地方公共団体や国が法律にもとづき、不動産の差し押さえ、公売に進むために手続きを取ります。

税金を滞納した場合、返済猶予を認めてもらうには、自治体などが設定した厳格な条件を満たさなければなりません。条件を満たさない場合、住宅ローンの滞納と異なり、早い段階で差押登記の手続きが取られます。

また、一般の債務よりも優先して返済しなければならないこと、自己破産しても税金の滞納は支払わなければならないことにも注意が必要です。

一般債権者の借金を滞納する

個人間の借り入れやクレジット債務など、抵当権が設定されていない貸付金を滞納した場合、債権者は民事執行法にもとづいて差押登記をおこないます。

一般債権者(担保権や優先権をもたない債権者)は、債務者からの返済が滞った場合、裁判所を介して手続きを進めます。手続きには時間がかかるうえ、一般債権者によっては長期間にわたって滞納を許してくれる場合もあるため、一般的には差押登記まで時間がかかると考えてもよいでしょう。

ただし、クレジットカード会社のように債権回収に長けた企業の場合、自社のルールに則って早期に手続きを進める場合もある点には注意が必要です。

任意売却を利用するメリット

差し押さえられた不動産でも、任意売却を利用すれば売却が可能となります。

以下のようにメリットがいくつもあるため、差し押さえられた不動産を売却する際は任意売却を検討してみましょう。

それでは、任意売却を利用するメリットについて解説します。

競売や公売よりも債務が残りにくい

任意売却は競売や公売よりも高く売れる傾向にあり、売却後に残る債務が少なくなる可能性があります。競売や公売は物件を自由に内覧できない、住宅ローンを借りにくいなど、買い手に不利な条件のもとでおこなわれます。これらのリスクを軽減するために、買い手は一般の相場よりも安く入札する場合が多く、相場の50〜80%程度で落札されるケースも少なくありません。

一方、任意売却は一般の売買と同じような販売方式で進められるため、相場に近い金額での売却が期待できます。売却金額が高いほど売却後に残る債務が少なくなり、より小さな負担で返済を続けられます。

近隣に滞納した事実を知られにくい

任意売却を利用すれば、競売や公売に比べて滞納した事実を知られずに売却できる可能性があります。

競売や公売がおこなわれる際には、現況調査報告書がインターネットで公開されます。現況調査報告書とは、土地の現況地目や建物の種類・構造など不動産の現在の状況が記載された書類です。こちらの書類には競売になった物件の所在地と物件写真が掲載されます。物件を特定できる情報が掲載されているため、現況調査報告書を見れば差し押さえ、競売になった事実がすぐにわかります。

一方、任意売却では差し押さえになった事実を公表せずに販売活動をおこなう方法であり、周囲に滞納を知られる確率は高くないといえるでしょう。

引越し費用を捻出できる場合がある

任意売却を利用した場合、債権者との交渉次第で引越し費用を捻出できるケースがあります。競売や公売の場合、引越し費用は手持ち資金から支払わなければなりません。しかし、不動産を差し押さえられる状況で、数十万円もする引越し費用を捻出するのは難しいといえます。

引越しができなければ売却が難しくなりますが、任意売却であれば、債権者が売却代金から引越し費用を捻出してくれる場合もあります。引越し費用を負担してもらうためには、債権者との交渉が必要となるため、不動産会社や弁護士に相談しましょう。

任意売却を利用するデメリット

任意売却にはメリットがいくつもありますが、以下のようなデメリットもあります。

メリットとデメリットを理解すれば、任意売却の利用を後悔する可能性が低くなります。

債権者の同意がないと進められない

任意売却は、債権者の同意がなければ進められません。債権者が必ず任意売却を認めるとは限らず、債務の金額が売却金額と比べ多すぎる場合、債権者が複数おり債権回収の協議がまとまらない場合など、同意が得られないケースもあります。

また、税金の滞納による差押登記が入っている不動産は、債権を回収しにくいため、差押登記が抹消できなければ任意売却に応じない債権者もいます。同意がとれるかどうか確認するためにも、事前に債権者と交渉し、利用条件などを聞いたうえで対策することが大切です。当然ながら、個人では対策を講じるのは難しいため、不動産会社や弁護士に同行してもらったうえで相談に行きましょう。

任意売却の利用には期限がある

任意売却の利用には制限があり、競売や公売の開札日前日までに売却を完了させなければなりません。競売の場合、一般的には滞納を開始してから8〜9か月経過すると裁判所から競売開始決定通知が送付され、10〜14か月程度で入札が開始されます。

一方、任意売却は債務を滞納してから、債権者の同意を取り付けるのに3〜4か月かかります。また、販売活動に3〜4か月、引渡しまで1〜2か月かかるため、競売入札までの期間とあまり変わりません。

販売活動が長引くと競売に移行される可能性が高くなるため、任意売却の利用を検討する際は、いかに早く行動に移せるかどうかが重要となります。

売却後も債務を返済する必要がある

任意売却はオーバーローンの不動産を売却する売買手法であり、基本的には売却後に債務が残ります。原則として売却後の残債は一括返済を求められますが、返済計画を立てて債権者と交渉すれば分割払いにも応じてくれる可能性があります。また、交渉次第では利息をカットしてくれるケースもあるため、交渉は専門家に任せましょう。

なお、売却後の残債を滞納すると、財産や給与を差し押さえられる可能性があります。安定した生活を送るためにも、無理のない返済計画を立てたうえで債権者と交渉することが大切です。

差し押さえられた不動産を売却する流れ

任意売却を利用して差し押さえられた不動産を売却する場合、以下の流れで進めます。

  1. ローンの滞納と債権者との交渉
  2. 不動産会社の選定と販売活動
  3. 売買契約・引渡し
  4. 売却後に残った債務の返済

手続きの流れを把握すれば、任意売却をスムーズに進められるようになります。

1.ローンの滞納と債権者との交渉

任意売却を利用する場合、まずは一定期間以上、住宅ローンを滞納しなければなりません。住宅ローンを借り入れるときには、「期限の利益」が設定されます。期限の利益とは、契約で定められた期日まで返済が猶予される権利で、この権利がある場合、債権者は債務の一括返済を求められません。ただし、3か月程度、債務を返済しないと「期限の利益が喪失」します。

期限の利益を喪失すると、抵当権の実行が可能となり、債権者は貸付金の残高を回収する手続きに入ります。この段階に入ると、ようやく回収手続きの一つである任意売却に応じてくれるようになるのです。債権者との交渉には1〜2か月かかるため、ローンを滞納した直後くらいから交渉を開始しましょう。

2.不動産会社の選定と販売活動

債権者から任意売却の同意が取得できた後は、不動産会社を選定して販売活動に入ります。販売にかかる期間は不動産会社の実力によって大きく左右されるため、慎重に選定しましょう。

売却する不動産が得意かどうか、実績のある会社かどうかなどを調査したうえで査定を依頼し、査定時には担当者の知識量や仕事に対する熱量も確認しましょう。

信頼できる不動産会社が見つかったら、媒介契約を締結して販売活動を始めてもらいます。販売活動には3〜4か月程度かかるため、早めに選定をおこないましょう。

3.売買契約・引渡し

販売活動をおこない買い手が見つかったら、売買契約に進みます。売買契約が完了したら、契約の内容に従って引渡し期日までに引越しし、決済・引渡しをおこないます。債権者に引越し費用を捻出してもらう場合は、売買契約書のコピーや引越しの見積もりを準備して提出しましょう。

決済・引渡しでは売買代金の授受や所有権移転登記、抵当権・差押登記の抹消などの手続きをおこないます。なお、売買契約締結から決済・引渡しまでには、1〜2か月程度かかります。

4.売却後に残った債務の返済

決済・引渡しが終わった後は、売却後に残った債務を返済します。任意売却を利用しても、売却後に住宅ローンの残高が残る場合があります。残った債務についても返済の義務があり、債権者との取り決めどおりに返さなければなりません。

ただし、多くの債権者は債務者の経済状況を考慮して、数年単位での分割返済に応じてくれます。売却後の残債を完済するまで任意売却は続くため、長期的な返済計画を立てて債務を返済していくことが重要です。

売却を成功させるためのポイント

空き家売却の賢い進め方|4つの方法と手続きの流れ

差し押さえられた不動産の売却を成功させるポイントは、以下のとおりです。

これらのポイントを押さえて、任意売却を成功に導きましょう。

任意売却を専門とする不動産会社に依頼する

住宅ローンの返済が厳しい場合は、任意売却を専門とする不動産会社に依頼しましょう。任意売却をおこなうには、債権者との交渉や競売・公売に関する知識が欠かせません。このような交渉力や知識は、一般の不動産売買では身につかないため、専門の会社に依頼する必要があります。

依頼する前に任意売却の実績数、売却後のサポートなどを不動産会社の公式サイトで確認しましょう。専門の会社に依頼できれば、競売や公売になる前に売却できる可能性が高くなります。

できる限り早く債権者と交渉を始める

任意売却を成功させるためには、できる限り早く債権者との交渉を開始する必要があります。

一般的に任意売却は、住宅ローンを3か月程度滞納しなければ利用できません。また、債権者は期限の利益が喪失する3か月くらいから、競売の手続きを開始します。つまり、任意売却の相談が遅れるほど、競売の入札まで時間が少なくなるわけです。

任意売却を利用するためには債権者の同意が必要であり、すぐに販売活動に入れないこともあり、早めに相談しないと競売の入札までに売却できなくなる可能性が高くなります。早めに販売活動に入るためにも、滞納を始めたくらいには、事前に金融機関に任意売却の相談をするとよいでしょう。

無理のない資金計画を立てる

売却後に残った債務を滞納すると、財産や給与を差し押さえられる可能性があるため、無理のない資金計画を立てる必要があります。債権者の多くは、返済に無理がないよう柔軟に対応してくれますが、ずさんな返済計画を立てると生活が苦しくなるかもしれません。

返済計画を立てる際は家賃や食費、水道光熱費などの出費を考慮したうえで、無理なく返済できる金額を決めることが大切です。

まとめ

差し押さえられた不動産とは、差押登記のついた不動産を指します。差押登記がついた不動産は、所有者の意思だけで売却できず、債務を返済して登記を抹消しないと、いずれ競売や公売になります。

競売や公売を回避するためには、任意売却の利用がおすすめです。任意売却は、競売や公売に比べて債務が残りにくく、残った債務についても返済しやすいよう配慮してもらえる場合が多いです。ただし、任意売却は誰でも利用できる方法ではないため、利用できるかどうかを早めに金融機関に確認しましょう。

任意売却の相談はいつでも可能ですので、住宅ローンの返済が厳しくなった時点で、早めに相談することが大切です。

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